「学歴なんか役に立たない」!? ちきりん×梅原大吾の対談本『悩みどころと逃げどころ』を読んで考える。【はてな読書会】

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参加しております「はてな読書会」

今月のお題は「最近読んでよかった本」なので自由に紹介させていただきます。

 カナリ長くなってしまったので目次をつけました。

 

私が最近読んだ本はこちら。

悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)

悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)

 

最近読んだ、というより、ここ最近あらためて読み直したんです。 

始めて読んだ時も、

「なんだこれ、めちゃめちゃ面白い…!」と興奮したのですが

何気なく再度読み返してみて改めて学ぶことが多かったので、読書会で感想をシェアさせてもらおうと思います。

 

「悩みどころと逃げどころ」は異色の対談本である

17歳で世界のトップに立ちながら、自分の生きていく道は本当にゲームでいいのかと悩み、あがいてもがいて自らの居場所を見つけた梅原大吾氏。

 

一方、「いい学校からいい会社」という学校エリートの道を歩みながら、乗っていた大きな船を降り、回り道をして「いい人生」にたどり着いた、ちきりん氏。

 

世界一プロゲーマーとカリスマ社会派ブロガー…

居場所も考え方もまったく違うふたりが、生き方をめぐって語り合った白熱対談。

 

いい人生はどこにある?

 

引用元:悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)紹介帯より

 

「学校エリート」のちきりんさんと、ゲームしか出来なかった梅原さん

この対談の「異色」さは

  • 書籍を複数出版している「ちきりん」さんの唯一の対談本であること
  • 正反対の考えを持つ二人が「学歴や、学校教育について」対談していること

の2点だと思う。

 

まえがきで梅原大吾さんが

彼女の『ゆるく考えよう』という本に「目標を低く持とう」とか「早めに諦めよう」という、自分の理念とはあまりにも掛け離れた言葉を発見し、衝撃を受けたことがあります。これほど異なる人との対話が、果たして価値あるものになり得るのか、実際に議論を始める前は半信半疑でした。

(中略)

みなさまにも「まったく考えの異なる人と、考えたこともないテーマについて真剣に議論することの意義」を感じていただければとても嬉しく思います。

と言っていますが、

本を読み進めているうちに

「まったく考えの異なる人」同士である感じが本当にヒシヒシと伝わってきます。

もし、これをよんだあなたが、梅原さん、ちきりんさんどちらかに強く感情移入できてしまうのであれば、もう一方の言葉に嫌悪感すら抱くかもしれません。

 

「アンチちきりんさん」みたいになってしまいそうなので。

ちょっと前置きしておきたいんですが、

私は、ちきりんさんは好きなんですよ。うん、好き。

好きなので、ちきりんさんが書いた本は全部読みました。この本を読むキッカケも

「梅原大吾さんはあんまり知らないけれど、ちきりんさんとの対話本だから読んでみよう」

と、ちきりんさんの文章を読むために買いました。

 

けれど初めて読んだときも、読み直した今も

読後は

「多面的に物事を見て、対談の中で自分と社会を見つめ直す梅原さん」

「自分の主張、考え、物の見方が終始変わらず、固定的なちきりんさん」

という印象がぬぐえませんでした。

 

もしかしたら「対談本」を面白くさせるために、

ちきりんさんがわざとポジショントークしているのかもしれません。

 

そうだとしても、この記事は少しちきりんさんディスになりそうな記述も出てくるかもしれませんので、ちきりんさんがすごく好きな人は、ご了承の上読み進めてください。

 

『「いい学校に行って、いい会社に入れば幸せになれる」という学校的価値観』の「学校」って何?

ちきりんさんは本書のなかで

『学校的価値観に毒されると』とか

『学校教育が、パターン化された「いい人生」を教え込む』という表現を頻繁にするんですけど、

読んでいる間ずっと

ちきりんさんの言う「学校」って何なんだろう感がありました。

 

そこに違和感を覚えるのは

ちきりんさんの言う「学校」と

私の経験してきた「学校」とで、

時代背景も、実施教育の内容も大きく変わっているから、というのが一番大きいと思います。

 

対談で、(小学校からまともに学校の授業を受けてきていない)梅原さんが、

たびたび

「信じられない」

「すごいな。本当にそんな価値観を持ってる人がいるんですか」

とか驚く場面があるのですが、

 

ちょっと待て!それは「ちきりんさんが経験した学校」の話、もしくは「ちきりんさんを取り巻く人々の学校」の話です!!!とめちゃめちゃ言いたくなりました。

私はちきりんさんは好きなはずなのに、ちきりんさん自身が経験した、たったひとつの「学校経験」を、日本の学校教育として語るので、ものすごく拒否感が出てしまったんです。

 

ちきりん:

だって学校って本来「自分のアタマで考える力」を養うところなのに、「とにかくこれをやれ」とか「先生の言うことさえ聞いておけばいい」みたいに無思考であることを勧めるんですよ。それって変でしょ。

 

と言っている場面があるのですが

この話とか、読んでくださっている皆さん、ピンときますか?

 

私は、ザ・ゆとり教育を生きてきたからかもしれませんが

全然ピンと来なくて、むしろ、「自分で選んで」「自分で考えて」「発表して」「まわりと考えをシェアさせて」みたいな授業が多すぎて

「これをやっていれば絶対OK!」っていうのが無かったんですよね。

これもまた、私は私が受けた教育でしか語れないから、一人よがりなのかもしれないけど。

 

逆説的に言うと、

「ザ・ゆとり」で育ってきたから、

ちきりんさんみたいな教育受けてきた人が沢山いる『エリート企業』だと、

生きにくさを感じるようになるんだろうか(´っ・ω・)っほーん

(エリート企業ではなかったけれど、前職は古くからある系のホワイト企業。そして私は離脱しました…)

 

「ちきりんさんは自分に学歴があるから気がつかないんですよ」

本書の中で、一番考えさせられた対談場面があるのですが

対談のはじめの方で、ちきりんさんが

「学校に行っても意味ないんじゃないか」ということをドーンと主張するんです。

 

エリート街道をずっと歩んできたちきりんさん。

自らのことを「学校エリート」と揶揄して、「学校では、教えを守って良い子でやってきたのに、リアル社会に出たら行き詰ってしまった人」をブログや著書を通して、助けたり代弁したりしている人です、

 

「学校行ったって、学校的価値観身に着けたって、社会に出たらほとんど役に立たない」という意味で言ったんだと思います。

 

ただそれに対して、梅原さんが話したことにちきりんさんは驚きます。

ちきりんさん:ウメハラさんが考える、学校に行くメリットってなんですか?

梅原さん:言ってしまえば「大卒」という学歴ですかね。

~(中略)~

梅:ちきりんさんは自分に学歴があるから気が付かないんですよ。僕がいた世界では、バイトでさえ学歴で人を判断する人が多くて、それが本当に屈辱的でした。 

~(中略)~

ち:私も大学時代は居酒屋やコンビニとか、あちこちでバイトしました。バイト仲間には高卒の子もいたけど、私の方がいい仕事をさせてもらったとか、優遇された記憶もないので、いまいちピンときません。厳しくも怒られたし…。

梅:厳しくされるのと、見下されるのは全然違うんです。(中略)口調とか態度みたいな、醸し出す空気で見下すんです。

~(中略)~

たとえば、レジからお金がなくなった時、学歴のない奴が真っ先に疑われるんですよ。

~(中略)~

梅:学歴がないことで苦しんでいる人は、現実にはたくさんいると思います。だから「学歴なんか今の世の中では関係ない」とは簡単に言い切れない。

 

ちきりんさんは「確かに私はそんなふうに見下された経験はないかも」と言います。

 

ちきりんさん、梅原さん、2人の見てきた「悲惨な世界」が違う

ちきりんさんは、自身のブログや、自分に集まってくるひとたちが

「いい学校に行って、いい会社に入ったのに、ブラックな働き方を強いられて、でも“学校的価値観”に染まっているから自ら抜けることが出来ない悲惨な人たち」。

その人たちの代弁も兼ねて

「学歴あっても悲惨な世界にいる人は沢山いる」と言う。

 

対して、梅原さんは

学歴で門前払いされ続ける人生を自らも経験し、周りにもそういう人たちが沢山いるからこそ、

「たかだか学校にいっていないだけで、人間の尊厳を踏みにじられる経験をする。どんなに仕事が大変でも、少なくとも惨めではないでしょう」と言う。

 

2人の見てきた世界、得てきた価値観が異なりすぎて

その対比する考え、噛みあわない感じが逆にとても勉強になりました。

 

私にとって「学歴」は必要だったのか?

私は、ちきりんさんと梅原さんで言うと、完全にちきりんさん側の道を歩いてきた人間だと思います。

ちきりんさんの学歴は知らないけれど、証券会社~、とか「いい大学いって、いい会社入って」と自分で言うくらいだから学歴は高いんだろうな。

 

私は学歴は別に高くはないんですが、大卒ではあるので「歴」に困ったことはないです。

 

そして今強く思うのは、「私自身は」大卒の学歴があってよかった、ということです。

その理由は、私自身が秀でた取柄のない、超平凡な人間だから。

秀でた部分も無ければ、飛びぬけて「やりたいこと」「すきなこと」もない。

ついでに言うと体力も無ければ、忍耐力もありません。

 

強烈なカードを持っていない平凡人間は

「学校的価値観にはめられた人」と言われようが、世の中の平均が持ってそうなカードは全部持っていた方が、「今の世の中では」生きやすいと思う。

平凡な私だからこそ、大卒の歴がもらえた環境には感謝しなきゃいけないとも強く思っています。

(大人になってから、様々な事情で、進学できなかった人たちのことをちゃんと知りました。普通に生きてると自分の周りも同じ状況な人間ばかりになるから、知らずにすんでしまったりするんですよね)

 

大卒、高卒、中卒、関係なく、素晴らしいひとは素晴らしいけれど、「現代での『仕事』にまつわる生きやすさ」を考えると

 

たとえば息子のパンくんにしても

「やりたいこと、学びたいことがあるなら大学にいけ」ではなく

「やりたいことがないなら、大学にいったほうがいい」って言うかな。

まぁ、パンくん(現在3歳)が大学に進学する15年後とかはまた世の中もガラッと変わってしまっていると思いますが。

 

 

長くなりましたが、この本、対談本として本当によくできていると思います。

悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)

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この本「悩みどころと逃げどころ」が

「耳で聞ける本」のリストに入っています。

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私も試してみたんですが、特に「対談本」って耳で聴くのすごく合っていると思います。

登録すると「1コイン(2500円相当)」がプレゼントされるので、

今回紹介されている悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)

通常オーディブル価格 2,500円のものが、無料で聴けますよ(*'ω'*)

 

 

 

 

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